19:15pm
暖かいココアを抱えミニシアターで映画を観る。
トニー滝谷美大で芸術を学んだトニー(イッセー尾形)は、デザイン会社へ就職、その後独立してイラストレーターになり、自宅のアトリエで仕事をこなすようになる。
そんなトニーが一人の女性、出版社編集部員・小沼英子(宮沢りえ)に恋をする。
この本を読んだことがある。
そう気付いたのは映画も半分が過ぎた頃だった。
それからというもの、映画を観ながら物語を思い出そうとするのだが、
どうしても思い出せない。
覚えてるのは、その村上春樹の小説を
大学の図書館の1番暗い場所…私だけの特等席で読んだこと。
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私は「学校」という場所に
自分の「お気に入り」の場所を見付けるのが好きだった。
給食室の裏、プールの地下、藤棚の奥、体育館の屋上…
この映画はそんなお気に入りの場所で観たいと思う。
その場所にここ、ユーロスペースはぴったりだと、私は思う。
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結局最後まで結末は思い出せなかった。
でもこの映画はイッセー尾形で、
宮沢りえで、西島秀俊で、坂本龍一で、
市川準のものでよかったと思う。
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まちがいなく、今年観た五本の中で1番だ。
そう思い、図書館のカビくさい匂いを想い、
「レキシントンの幽霊」の文庫本を買って映画館を出た。
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21:40pm
そして今、好きな人を待ちながらこの感想を書いている。
そんな時間が好きだ。たとえ今日その人に会えなくても。
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23:46pm
そして文庫版トニー滝谷を読み終えて、私は家路についた。